機関投資家がファンド運用を行う際には、EIKONやBloomberg等の情報端末のデータを駆使してポートフォリオ構築や分析をおこなっいる。
個人でも契約可能だが、1月に2桁万円の料金を要することもあり、個人の投資家が簡単に契約できるものではない。そこで個人投資家が参考するのがインターネットの各種ウェブサイトだ。
米国株式の場合世界的にみれば最も投資家の数が多い株式で情報は豊富なのだが、どこのサイトが良いのか投資を始めたばかりの日本人からするとよくわからない。
適当に検索して表示されるデータダウンロードサイトは、データを得ようとするとプレミアム会員登録を求められるものも多い。また、PCに詳しい人ならAPIを介して直接落とすことができるサイトも多いが、あまり詳しくない人にとってはAPIはハードルが高い。
そこで私を含めた米国株式投資ビギナーのため、特段の技術を必要とせずに米国株式投資で使えるデータを確認・取得できるサイトをまとめてみた。
Contents
Yahoo!Finance
取得項目 | 概要 |
株価 | 日次で20年以上可能 |
取引 | 出来高、52週変化、移動平均 |
業績 | ROA、ROE、売上高、売上高利益率、営業利益率等のPL基礎データ |
財務 | B/S、キャッシュフローデータ |
バリュエーション | PER、PBR、益利回り、EV、PEG Ratio等 |
配当 | 配当利回り、 配当性向、次回配当日、直近配当日 |
株主構成 | 主要株主構成、変化 |
経営陣 | – |
サイト概要
米株投資の鉄板サイトの1つがヤフーファイナンスだ。個別銘柄を検索すれば、必ず上位に表示される。米国株式投資で必要な基本データが網羅されており、チャート機能も機能性もそこそこ高いため、個別株に投資する際には確実に目を通しておきたい。
株価のヒストリカルデータがCSV形式でエクスポート可能なため、バックテストやオリジナルのテクニカル分析等にも使用することができ非常に便利だ。
一方で、ヒストリカル形式で確認できるのは、株価や財務情報等のデータに限られており、その他は直近値ベースでの掲載となっている。時系列分析を行う目的では、株価以外はほとんど使えないので注意したい。
取得方法
株価についてはサイト上部にある検索バーに個別株のティッカーを入力し、サイト中段にある「Historical data」で任意の時点を入力し、「Apply」→「Download Data」ですぐ出力できる。
それ以外はサイトからのコピペで対応しよう。
サイトを見る
Google Finance
取得項目 | 概要 |
株価 | 20年以上取得可能 |
取引 | 出来高、ベータ、発行済み株式数、通貨 |
業績 | 売上高利益率、営業利益率 |
財務 | B/S、キャッシュフローデータ |
バリュエーション | PER、EPS |
配当 | – |
株主構成 | – |
経営陣 | – |
サイト概要
グーグルファイナンスでは、個別銘柄のデータについては比較的シンプルな形式でしか掲載されておらず、データの細かさでは私はヤフーファイナンスの方が好みだ。
ただし、グーグルファイナンスでは、グーグルスプレッドシートでリアルタイムのデータの他、株価等の時系列データについても関数を使用して簡単にダウンロードすることができる。
ヤフーファイナンス等でも似たような方法でダウンロードできるが、方法の容易さはグーグルファイナンスがダントツ。
ダウンロード項目はある程度に限られるが、複数銘柄や複数期間を一気に分析したい場合は、直接ダウンロードできる強みは重宝する。
取得方法
データの取得については、上述の通り =GOOGLEFINANCE(“GOOG”, “price”, DATE(2014,1,1), DATE(2014,12,31), “DAILY”)といった形式でグーグルスプレッドシート上に記述してダウンロードする。
エクセルの関数が使える人なら親和性が高いので使いやすい。ダウンロード項目や期間の指定方法等の記述ルールは、グーグルのサイト上にヘルプがあるため、要参照。
サイトを見る
MORNINGSTAR
取得項目 | 概要 |
株価 | 年次で10年 |
取引 | – |
業績 | 売上高、売上高利益率、営業利益率等のPL基礎データ |
財務 | B/S、キャッシュフローデータ |
バリュエーション | PER、PBR、益利回り、EV、PEG Ratio等 |
配当 | 配当利回り |
株主構成 | 主要株主構成、変化 |
経営陣 | 経営者名、報酬額 |
サイト概要
米国株式の著名情報サイトであるモーニングスター。個別株のニュースやアナリストの分析等に加え、過去10年ほどの財務・バリューエション、業績等の基本情報は手に入れることができる。
これらのデータは全てエクスポート機能が付いている訳ではないが、ヒストリカル形式の表体裁で掲載されているため、5-10年の期間であればエクセルにコピペすれば簡単に分析できる。
財務や業績系のデータで10年近く取得できるサイトはあまりないので、そういった類のデータを利用するなら重宝する。
取得方法
プライスデータ含めヒストリカルデータは年次ベースが基本であり、日次等の頻度には対応していない。データの取得方法は簡単で、ページにアクセスした後に検索バーで欲しい銘柄のティッカーを入力すればOKだ。
表示された表を選択し、コピー&ペーストで手元のエクセルに添付すれば完了。
サイトを見る
Quote Media
取得項目 | 概要 |
株価 | 日次で20年以上可能 |
取引 | 出来高 |
業績 | 売上高、売上高利益率、営業利益率等のPL基礎データ、アナリスト収益予想 |
財務 | B/S、キャッシュフローデータ |
バリュエーション | PER、PBR |
配当 | 配当利回り、直近配当日、その他コーポレートイベント |
株主構成 | 属性別株主構成、変化 |
経営陣 | インサイダーによる取引増減 |
サイト概要
クォートメディアでは、これまで紹介したサイトと同様に個別銘柄の主要データを確認できる。
株価や出来高等のデータはヒストリカルで確認できるが、財務データやバリュエーション指標は直近時点等、比較的ヤフーファイナンスの掲載形式に近い。
ただし、ヒストリカルデータのエクスポートはできず、一定期間ごとにページが変わるため、長期のデータを一気に取得するのは難しい。敢えて株価等のヒストリカルデータを取得するのに使う必要性は薄い。
しいて挙げるなら、アナリスト推奨やアナリストによる収益予測を確認したい時には見やすくて良いかもしれない。
取得方法
上部の検索バーから個別銘柄のティッカーを入力。確認したいタイプのデータを左側の項目欄から選ぼう。あとはコピペでOKだ。
サイトを見る
Netfonds Bank
取得項目 | 概要 |
株価 | 日次で20年以上前は可能。ただし、一時点ずつ |
取引 | 出来高・時価 |
業績 | – |
財務 | – |
バリュエーション | – |
配当 | – |
株主構成 | – |
経営陣 | – |
サイト概要
米国株なのになぜかノルウェーの銀行であるNetfonds Bankのサイトでも、米国主要取引所上場銘柄の株価データを取得できる。
Netfonds Bankでは株価や出来高等のデータが過去の任意の時点でしかダウンロードできないが、取引所の上場銘柄を一括で取得できることに特徴がある。
ある一時点における銘柄間の相対比較(例えば、3月・6月・9月等の変化率差等)をする際には使える。逆にいうと、それ以外は機能がほとんどないため、前述した用途以外では特段利用する必要はないだろう。
取得方法
サイトにアクセスして、まずは右上から言語を英語に変更。上段の選択肢から「Markets」→左側の選択肢から「History」を選択すると、画面中央にデータを記載した一覧表が表される。上部にある「Exchange」欄から、NasdaqやNYSEを選択すると完了。
サイトを見る
まとめ
他にもCFDベースでティックデータを取得できるサイトはあるが(Dukascopy等)、基本的にはこれらを把握していれば、それなりの分析はできるのではないだろうか。
ただし、御覧のように記載したサイトおよび取得方法についてはコピペ作業を前提とした内容であるため、大量のデータ処理には適切ではない。大量のデータを用いて処理をする場合は、APIを前提とした作業を覚えた方が良いだろう。