米国株式の取引ができる主要なオンライン証券会社の一つであるマネックス証券では、これまで米国株式の取引においては米ドルでしか決済が行えなかった。
しかし、2018年3月26日以降は円貨決済に対応開始したため、米ドルに両替する必要がなくなった。え、今更?的な感じではあるが、詳細について確認してみたい。
私も普段は米ドルでの決済が当たり前だが、案外気づきにくい円貨決済を使えることの利点も併せて紹介する。
Contents
円貨決済サービス概要
当該決済手法は、予め設定を行っておく必要があるため注意したい。
設定
外国株式のトップ画面から右下のボタン(自動連携を利用する)で可能になる。適用は日本時間17時までに行えば当日から、17時以降であれば翌日から保有している円貨が米国株式売買の際に自動的に米ドルに振り替えられ、決済代金に適用される。
ルール
今回の円貨決済サービスのポイントは、あくまでも買い付け代金にのみ適用される点だ。株式の売却に伴う売却代金は、米ドルでの受け取りになるため、次回の売買にも転用しやすい。
米国株式売買の円貨決済利用ポイント
いつも米国株式を外貨・円貨どちらで決済すべきか迷っている人のために、円貨決済を利用する際のポイントをまとめた。
項目 | 概要 |
メリット① | 円をわざわざ米ドルに交換する必要がない |
メリット② | 通常の為替手数料(25銭)と変わらない |
メリット③ | 必要な金額だけ米ドル転できる |
デメリット① | 為替の購入タイミングを変えられない |
デメリット② | 株を割高な価格で購入してしまう可能性 |
メリット①円をわざわざ米ドルに交換する必要がない
米国株式を円貨で決済できる最大の利点は手間の削減だろう。外国株式の売買においては、当たり前だがその券面の建通貨を購入し、前もって準備しておく必要がある。
しかし、円貨決済の場合、円から外貨への交換を証券会社が行うため、そうした手間は一切かからない。また、購入予定の株式の価格が急に上昇し、手持ちの米ドルが足らなくなっても円から代金が充当されるため、買い逃す心配がない。
メリット②通常の為替手数料(25銭)と変わらない
あくまでマネックスの場合だが、当該円貨決済サービスを利用しても別途手数料を支払うことはない。マネックス証券の場合は、円貨から外貨への外国為替手数料は25銭であるが、これは外貨決済であろうと、円貨決済であろうと変わらない。
メリット③必要な金額だけ米ドル転できる
米ドル決済の場合は、あらかじめ米ドルを購入しておく必要があるため、購入予定金額よりも多めに購入する人が大半だろう。一方、円貨決済は株式の購入代金のみ米ドルに交換されるため、余計な米ドルを購入する必要がない。
デメリット①為替の購入タイミングを変えられない
米国株式を円貨で決済する場合、株式と通貨の購入タイミングが同一となる。しかし、狙っている株式が下落している局面(株の最適購入タイミング)と為替が円高になっている局面(米ドルの最適購入タイミング)は必ずしも同一ではない。
リスクオフの地合いにおいては、株安・円高になる傾向は確かだが、自分で各々の最適購入タイミングを決めたいと考えていても、円貨決済の場合は、為替の購入時期をコントロールすることができない。
デメリット②株を割高な価格で購入してしまう可能性
就寝前に当日の米国市場での買い付けをオーダーしておいても、突然株価が値上がりし保有している米ドルが購入代金に満たない場合、米国株の売買は実行されない。
しかし、円貨での充当が可能となっている場合は、足りなくなると自動的に円貨が売買代金に用いられるため、設定によっては想定よりも割高な価格で購入してしまう可能性もある。
ちなみに、マネックス証券の場合は、円貨決済に適用できる金額を決められるため、思わぬ支払いになる可能性はある程度緩和することが可能だ。
円貨決済の利用が向いている人
前述のポイントを踏まえると、円貨決済は以下のような点に該当する人は、積極的に利用しても良いのではないだろうか。
- 米国株式購入の手間をできるだけ省きたい
- 気になるのは株式の価格だけで、通貨のレートは気にならない
- 多少株価が変動しても確実に今購入しておきたい
- 今回購入したら当面米国株式を購入する予定がない
円貨決済の最大の利点はやはり売買の省力化だ。為替レートの多少の変動は考慮しない人にとっては、コスト面の違いはほとんど無いいため、円貨決済を利用した方が良い。
また、円貨を自動で充当するため、株価の変動による米ドル不足で買い逃す心配もない。また、私としては案外使えるかもと考えている点は4点目の今回購入すれば、当面購入する予定がない人だ。
実は余計な為替リスクを取りたくない人こそ使える
米国株式の購入は、売買委託手数料に上限がある仕組み上、ある程度まとまったロットで購入した方が実質的な売買委託手数料が安くなる。
つまり、例えば米国上場のETF等を積立購入している人は、小口で少しずつ買うよりある程度時間を置いてまとまったロットで買い付けを行った方が良い。
こういった売買を行う場合、あらかじめ米ドルを大量に買い込んで米ドルが余ってしまうと、次回の売買まで余った分の投資資金が為替リスクを負うことになる。
もしタイミングが円高局面なのであれば、例えば3か月後・6か月後に米ドルを購入した方がお得になる。つまり、こういう局面では、円貨決済を利用して必要な分だけ米ドルに交換した方が円高のメリット(外貨が安く買える)を享受できる訳だ。
2015年の夏以降、為替は円高傾向が続いている。こうした点を踏まえると、今こそ円貨決済の魅力が増しているタイミングと言えるかもしれない。