右肩上がりのこれまでの株価推移から、米国株式投資は中長期の投資が多いと思われる。そのため、投資の情報集めやポートフォリオ管理はパソコン派の人も日本株に比べたら多いはず。
ただ、そんな米国株式でもスマホのアプリで便利かつ面白いものがないかと探してみたのが、Stock Master:realtime stocksだ。機能性に富んでおり、アプリで一つできることが非常に多い。
米国株式投資に色々なアプリを使っている人でも、これ一つである程度のことは済ませることができるのではないだろうか。このアプリについて何ができるのかレビューしていく。
Contents
アプリの概要
アプリ名称 | Stock Master :realtime stocks |
対応OS | iOS |
料金 | 基本無料(月払:1,100円、一括買切:16,800円) |
ストア内評価(執筆時) | 4.6 (82件の評価) |
Stock Masterは基本的に英語表記のアプリになるが、主要指数の状況や株式固有銘柄の詳細、ポートフォリオの管理、チャートの描画まで幅広く対応した米国株式用アプリだ。
Appストアでのユーザーレビューは執筆時で4.6と非常に高く、コメントも好意的な内容が多い。
機能一覧と有料プランと無料プランの違い
利用料は基本的に無料で使えるが、ある程度機能が限られる。まず先に料金面を紹介すると、基本利用は無料で、月払いのサブスクリプション利用が1,100円、買い切りのProバージョンが16,800円となる。
機能の一覧と無料版と有料版の違いは以下の通りだ。
項目 | 無料版 | 有料版 |
ウォッチリスト | Mainと401K Popular ETFsの2つまで編集可 | 自由に編集 |
ポートフォリオ管理 | 使えない | 自由に編集 |
ポートフォリオリポート | 出力可 | 出力可 |
銘柄ランキング | 全セクター統合ベースのみ | 各セクターごとに可能 |
決算カレンダー | 閲覧可能 | 閲覧可能 |
経済指標カレンダー | 閲覧可能 | 閲覧可能 |
リターン比較グラフ | 閲覧可能 | 閲覧可能 |
バックテスト | 一部のテクニカル指標や期間のみ | 自由に編集 |
ポートフォリオバックテスト | 一部のテクニカル指標や期間のみ | 自由に編集 |
戦略別バックテスト | 一部のテクニカル指標や期間のみ | 自由に編集 |
仮想取引 | 利用可能 | 利用可能 |
リーダーボード | 利用可能 | 利用可能 |
メッセージ | 利用可能 | 利用可能 |
マーケットニュース | 利用可能 | 利用可能 |
報道機関別マーケットニュース | 利用可能 | 利用可能 |
掲示板 | 利用可能 | 利用可能 |
株式スクリーナー | 利用可能 | 利用可能 |
株式アラート | 利用可能 | 利用可能 |
株式メモ | 利用可能 | 利用可能 |
ETFリスト | 利用可能 | 利用可能 |
仮想通貨 | 利用可能 | 利用可能 |
御覧のように機能が非常に豊富で、UIも使いやすい。有料版ではウォッチリストをいくつも作ったり、自分のポートフォリオを登録して収益動向をモニタリングすることができる。また、銘柄の変化率や取引ボリュームのランキングもセクターごとにみられる。
なお、Stock Masterはスマホアプリながらバックテストも可能だ。無料版でも一部の機能は使えるが、有料版だと様々なテクニカル指標に従って売買した場合の収益率を確認することができる。
ポートフォリオ機能がなくても役立つ機能は多いが、有料版の方が自分の保有株から直接色々な機能を使えるので、当然使い勝手は増す。
おすすめは、サブスクリプション型でとりあえず1月分申込み(1,100円)、納得ができれば一括で買ってみればよいだろう。1年ちょっと使う可能性があるなら、一括買い切りの方がお得だ。
主要機能の詳細
次にStock Masterの各機能について、主要なものを取り上げて何ができるか確認してみよう。
市場概観
まずは一番よく見るであろう主要指数の一覧画面だ。
画面の一覧では、2種類の表示が可能。よくあるマーケットアプリのように指標の数値のみ表示する形式と、画像のように主要指数のパフォーマンスを比較した形式の表示がある。いずれの形式で表示するかはユーザーが選択できる。
なお、自分の気に入ったものをまとめて表示したい場合は、Watch Listを活用する。自分の好きな株式や指標をまとめてリスト表示できる。
前述の通り、無料版ではMainのWatchlistと401 popular ETFsしか編集できないが、有料版ならいくつも編集することができる。
ポートフォリオ管理
よく使う機能の一つであるポートフォリオ管理機能はこんな感じ。
概要画面では、ポートフォリオの時価や収益率、コスト、配当等の状況を表示。キャッシュの入力もOKだ。高配当株式投資の人の場合、自分で配当金額を入力しなければいけないアプリもあるが、Stock Masterは保有期間の配当を自動でカウントする。
こうした概要表示の他、銘柄ごとの収益率・累積配当等の簡単な分析もできる。
その他のアプリ等を色々と見てきた身からすると、ポートフォリオ管理機能に特化したアプリと比べるとシンプルな機能にとどまっている印象だが、使いやすいことは確か。
ちなみに、このStock Masterは自分のポートフォリオの概要リポートも作成してくれるので便利だ。PDFのリンクをつけておくので、サンプルレポートを確認してみてほしい。
スマホのアプリで作成できるレポートとしては中々上等ではないだろうか。
仮想取引
このアプリでは、米国株式の仮想取引も可能だ。ポートフォリオ機能と類似画面で自分の取引を入れて仮想のポートフォリオを管理する。
一見すると、ポートフォリオ管理機能でもできそうだが、仮想取引では当然のことながら今の時点の価格でしか売買の記録を入れることができないので、過去に遡ってポジションを入力することができるポートフォリオ管理とは明確に異なる。
また、仮想取引で入力したポジションは、Leaderboardという機能で同じように仮想取引を行っている人たちに公開される。逆に高いパフォーマンスを上げている人はどういう取引を行っているのか、ここで確認することもできる。
加えて、これらの人たちとコミュニケーションできるMessageという機能もある。勿論Englishだが。
他のユーザーとコミュニケーションを取る場としては、ディスカッションボード(掲示板)がアプリ内に設置されており、大概こういう所は過疎化しているパターンが多いが、コメントの応酬は活発だ。
ニュース
色々とできるStock Masterだが、マーケットニュースに関してはそこまでイイ!というものではない。これも基本的にシンプルなUIだ。
閲覧形式は、ただニュースがざっと流れる形と、報道機関ごとの2タイプがある。Stock Master1つで多様な範囲をカバーできるのは事実だが、正直ニュースに関してはその手の専門アプリの方が使い勝手が良い。
なお、特徴的な動きをした銘柄を確認したいならMarket Moversが使える。この機能では、直近のマーケットにおいて価格、取引ボリューム、時価総額の変動上位・下位を簡単に確認できる。
例えば、決算発表等で大きく動いた銘柄等、前日の米国マーケットでどんな銘柄が売買されたのか簡単に把握できる。
銘柄の比較・分析
ある一定条件に当てはまる銘柄を抽出にするには、Stock Screenerがある。
米国以外の市場を含めて、「変化率上位100銘柄」等のシンプルな条件に限らず、「米国株のうち、①取引ボリュームが10万株以上1億株未満の株式、②配当利回りが3%以上、③25日の単純移動平均を上に突き抜けている、④PERが20倍未満の銘柄」等の複数条件もOK。
また、「52週高値」や「ギャップアップを5%以上した銘柄」等、特定のテクニカル指標に該当する銘柄は、Market Stock Scanという機能で膨大な項目を一覧で確認可能だ。
特定銘柄の比較には、Stock Comparisonを利用する。
しばしば迷いがちな似たような銘柄について、最近のリターンやバリュエーション、配当利回り等を横串比較できるので、投資の意思決定する際に役立つ。
バックテスト
スマホアプリでは珍しくStock Masterでは簡単なバックテスト機能がある。自分が使っているテクニカル指標等が銘柄やポートフォリオに対して有効性を持つのか、ざっくり確認できる。
例えばこの画像の場合、MACD・RSI・キャンドルモメンタム等のテクニカル指標を用いて投資を1年した場合のWatchlistにある個別株の結果が表示されている。
ロングで永久買持ちの人やドルコストで購入する人であればあまり必要のない機能であるが、株価がレンジで動く銘柄をスイングトレードで投資する人には面白い機能ではないだろうか。
アプリの雑感
以上に挙げたのが主要な機能の抜粋だ。ここには取り上げていないが、これら以外にも経済指標カレンダー・企業決算カレンダーや仮想通貨のレート、マーケットボリューム等を表示できる機能もあり、アプリとしての網羅性は非常に高い。
ただし、網羅性とトレードオフになることだが、多機能ゆえに各々の機能に特化したアプリと比べるとシンプルな感じが否めない所はある。一部の機能ではあるが。
無料でも利用できる範囲は多いので、特段のこだわりがなければ米国株式投資家はスマホに入れておいても損はないだろう。