昔ながらの伝統的ベンチマークアクティブファンドは苦境に立たされている。もはやその役割を終えたといっても過言ではありません。
最近の統計データでは、世界的にアクティブファンドからインデックス運用のパッシブファンドへ資金流出する動きが鮮明になっています。
●国内株式ファンドのアクティブ・パッシブ別資金動向
(出所)https://www.morningstar.co.jp/fund/analyst/2017/2q/MFA120170420.html
●米国の投資信託のアクティブ・パッシブ別
(出所)http://diamond.jp/articles/-/132945
報酬に見合わないパフォーマンス、ETFなどの効率的な代替手段の普及
以前は市場平均的な運用を行うパッシブファンドへの投資は過小評価されていました。
しかし、様々な研究や識者からの指摘で、アクティブファンドへの投資がコストに見合うパフォーマンスを獲得できないことが認識され始め、アクティブファンドへの投資こそ寧ろ無駄であるという感覚が広まってきています。
また、米国のバンガード社をはじめとした低コストETFの普及により、個人投資家のみならず、大手の機関投資家も効果的に市場並みの運用成績を得られるようになったことも、資金流出に拍車をかけています。
私も個人的な株式投資においては、インデックス運用しか行っていません。DCのアロケーションも株式パッシブ運用一択!
少なくとも株式の投資スタンスが①中長期投資で②副業的に行っている人は個別株投資は行うべきはない。
残念ながら、あなたの労力に見合ったパフォーマンスは決して得られません。インデックス投資で節約した時間で、自己投資をした方が有益でしょう。
ベテランファンドマネジャーも仕事を無くしつつある
こうした流れを受けて、本邦の大手運用会社でもインデックス運用の体制強化、商品ラインナップの増強の動きが加速しています。人材でも今はベンチマークなどが無いアロケーション運用のクオンツが大きく幅を利かせるようになっていますね。
運用関連の業界に身をうずめる私も周りでも、個別資産の投資ではパッシブファンドへの資金流入が続く一方、伝統的な対ベンチマークアクティブファンドの残高は風前の灯です。
満足に成績を出すことができないアクティブファンドマネジャーは、ESG投資やスチュワードシップコード対応の対話要員、営業担当に駆り出される動きが見受けられます。
対ベンチマーク運用で継続的にアウトパフォームすることはほぼ不可能。一時的に称賛を得ても、結局はいずれ大敗します。
長期で見たら大勝しているという声があり、長期リターンを図ってみると確かに勝っている。信託報酬を考えないベースなら。なんてこともよくあります。
対ベンチに勝ったか負けたかで判断し、お客様が信託報酬控除後に得た利益がどうなっているかなんて考えていない人も多いのです。この業界は。
絶対収益重視、厳選投資など「癖のある」ファンドしか投資価値はない
敢えて投資するなら、今後のアクティブファンドで投資価値あるファンドは何でしょうか?
少なくとも対ベンチマーク運用の半端なアクティブファンドは避けるべき。絶対収益重視や、少数銘柄厳選投資で、ベンチマークを信託報酬込みできちっと超過しているものが最低限の条件です。
例えば、現状の運用成績に基づくなら、レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投資」やスパークスの「厳選投資」などがそれに当たります。
●ひふみ投信の対TOPIX成績
(出所)http://www.toushikiso.com/column/research-hihumi.html
●厳選投資の対TOPIX成績
(出所)https://www.sparx.co.jp/special/gen/
ただ、こういった形で紹介しても、私自身は投資しません。あくまで参考。先ほどの議論にあったように、中長期で投資した時に、この状況が持続しているとは断言できないからです。
厳選投資のリスクは、信託報酬の高さと分散が効かないこと。長期で投資するほど、高い信託報酬がじわじわと効いてきますし、分散が効かないから踏み外しリスクがある。
投資先企業が例えば粉飾会計で一気に株価が下落なんて事態が起こらない保証はありません。
余程個別株投資や投資ファンドの運営企業を応援したいなんてことがない限りは、安全でコストパフォーマンスの良いインデックス投資で行きましょう。
ちなみに、インデックス投資の弱点は何か。それはつまらないことです。
インデックス投資がいくら理論的でも魅力的でないのは濃縮カルピスのような濃い現在をどんどん薄めて数十年後のリターンという薄く味気ない話にしてしまうからでこれは仕方がない。たまに来世の話をしているように感じられて興味が無くなる時がある。
— ひとり配当金生活-さいもん (@hitori_haitou) June 28, 2017