VIX(Volatility Index)はSP500のオプションから算出される指数です。
別名恐怖指数とも言われ、地政学リスクの台頭や予想外のイベント等、金融市場の不透明感が強まるタイミングで急速に跳ねる等、市場心理を推し量る代表的な指標としてしばしば用いられます。
このVIXを原資産とした先物があり、ボラティリティの高まる局面では盛んに売買されています。
実は2017年はVIXが過去最低水準を更新し、一時的反転による市場の大調整が一部で話題になっておりました。結局は大した調整は何もなしですが。
一部の証券会社にこのボラの低下の要因を聞いてみたところ、近年のボラ低下でVIXショートのトレーダーがめちゃくちゃ儲けており、先物の売りポジションが厚い。そのため、不透明感が強まる局面でも猛烈な売り浴びせでVIXも上昇しづらくなっているのではないかとのこと。
このVIX売り、調べて見ると一撃死の可能性もあるものの、結構利益出ているんですねぇ。
VIXの売り・買いは国内ETFで行うことができる
VIX先物は米国上場ですが、色々と調べて米国の証券会社を開いたりするのが面倒な場合、国内のETFで代替することができます。それが以下の2つ。
- ロング:国際のETF VIX短期先物指数(1552)
- ショート:NEXT NOTES S&P500 VIXインバース ETN(2049)
両方を用いることで、VIXが上昇しやすそうな局面では1552を買い、平時は2049を保有すれば収益を得られます。
ちなみに、先ほど言及したように2049を保有した場合のパフォーマンスはこんな感じ。
この商品は2015年3月に上場し、すぐさまチャイナショック等で大幅に下落したものの、VIXの低下が進む中今では凡そ2.5倍にまで上昇。2年で2倍以上なら、投資としては中々面白いかも。
VIXの研究をされている方がいらっしゃったので、バックテストを引用させてもらうとこの通り。あくまでも理論値ですが力強い収益率・・・!
■VIXショートの長期パフォーマンス(理論値、7月まで)
年 | 変化率 |
2005 | +91.6% |
2006 | +84.0% |
2007 | +21.8% |
2008 | -29.4% |
2009 | -64.5% |
2010 | +88.5% |
2011 | +185.4% |
2012 | -25.3% |
2013 | 125.5% |
2014 | +47.2% |
2015 | +20.9% |
2016 | -29.9% |
2017 | +170.1% |
累積 | +4,979% |
(出所)https://room5110.com/vix/backtest
2049をロングして放っておけば良いので、この投資は小額でやってみる価値はあるかもしれない。
例えば、ダウ平均が2005年時点で10,717ドル、現在が22,000ドル前後で配当除きで約2倍程度の増加なのを考えるといかに大きいかよく分かります。
注意したいのがリスク回避局面での猛烈な下落と途中償還リスク
このVIXショートETFは長期保有によって非常に良い収益率を得れらることがよく分かりましたが、一方でそれ相応のリスクもあります。
まず、通常の株式同様に危機局面ではVIXが急上昇するため、このETFも激しく下落します。上記の表で挙げた期間だと、2008年~2009年の間で9割近く下落しています。
ETFのため損失は投資額までに限定されますが、今後リーマンショック級の危機イベントが同様に発生すれば、相応に下がることを覚悟する必要があります。
次に期限前償還。公式サイトにも下部にちょこっと書かれていますが、1日で80%以上下落した場合、早期償還されるとあります。今の所同様の事象はまだ発生していないようですが、このように途中で強制的に運用が打ち切られる可能性には留意です。
中々癖のある商品です。インバースの特性等含め、ちゃんと性質を理解した上で投資しましょう。