私は子供ころは親父が転勤の多い公務員でしたので、地方を転々として育ちました。
地方で育っていると、相対的に首都圏と比べると賃料などの物価水準がやはり安いので、1,000万円もある家庭は超上流家庭の認識でした。※勿論うちはそんな裕福ではなかったですが。
でも最近見かけたのが、都内だと1,000万円でも貯金が出来ず苦しいというネット上の悩み相談。
地方出身で独身だった頃の私は、この手の悩み相談は「また、自虐系自慢か、ハイハイワロスワロス」なんて思っていたのが、悲しいかな都内勤務で近場に住まざるをえず、更に結婚して子供できると、勿論1000万なんてなくともこの手の悩みが少し分かり始める。
- 家族が増えて大きなマンションに移り住む ⇒ 住居費UP♪
- 子供の教育費のために学資保険に入る ⇒ 保険料UP♪
- 家族の将来のために保険金額増やす ⇒ 保険料UP♪
- 広い家にあった家具を買い替える ⇒ 大口出費♪
独身で自由にしていたころと比べると、かなりの大幅負担増。生まれてすぐの子供のベビー服の数より、自分の服の方が少なくなっている現実。
全然贅沢なんてできねぇ・・・・、子供の頃の理想とほど遠いじゃねぇか・・・!!!!
なんていいたくなります。
年収1000万円くらいあると、少しは楽なんじゃないの?って思いがちですが、都内年収1000万円の人が税金控除後に固定費を支払った場合、どれくらい余裕があるのでしょうか?地方住みの人と比べてみました。
そもそも年収1000万円以上の会社員は4%しかいない
そもそも、私が年収1000万円以上が上流家庭と認識する理由として、桁が1桁違う感覚的な所もありますが、やはりそれだけ稼いでいる人の絶対数の少なさが理由の1つになるかと思っています。
これは国税庁が作成している民間で働く給与所得者の分布を示したものですが、年収1,000万円以上の人の分布は右側の方で僅かにいる限り。人数で大よそ200万人、比率ではわずか4.2%しかいません。
経費などで落とせる実質的に年収1000万円以上の自営業者含めるともう少し増えると思いますが、1学年100人なら学年にわずか4、5人。この希少性なら上流家庭と勘違いしてもおかしくはないですね。
但し、共働きは含んでいないので、年収1000万円台生活の人はその2~3倍はいてもおかしくない。それでも少数派には変わりないですが。
比率で聞くと4%と少なく聞こえますが、人数で200万人ってきくと結構多いですね。人口規模でいうと栃木くらいです。そう栃木。
栃木住まいの皆さんが1000万円以上の所得者。そう聞くとなんか多い気もしますね・・・。まあ次行きましょう。
まず、税引き後で実際に使える金額は?
額面だけみても仕方ないので、実際の所得で見てみます。額面600万、800万、1000万円の人の所得水準を各々計算してみたのが下記の感じ。計算にはデジットさんの手取り計算を参照。
控除項目 | 額面600万円 | 額面800万円 | 額面1000万円 |
健康保険 | 246,000円 | 328,000円 | 410,000円 |
厚生年金 | 526,875円 | 702,500円 | 878,125円 |
雇用保険 | 52,500円 | 70,000円 | 87,500 |
所得税 | 156,116円 | 305,910円 | 580,387円 |
住民税 | 84,226円 | 207,453円 | 348,504円 |
手取額 | 4,934,282円 | 6,386,136円 | 7,695,482円 |
額面に占める税の割合 | 17.7% | 20.2% | 23.0% |
※三鷹市在住の家族(妻・子扶養)の2015年度の計算をベ-スとしている
こうみると分かりますが、額面の増加と共に所得に占める法的控除額が増加していき、実際に使える金額は目減りしてきます。例えば、年収1,000万円と800万円では差としては130万円前後。
年収が4桁の大台に乗ると途端にお金持ち感が出ますが、実は年収800万円の夫と年収100万円のパートをする妻の世帯と実質的には変わらないんですねー。
で、実際に都内に住んでみると?
年収1000万円だと、実質的には700万円台半ばの実質所得となることが分かりました。
では次に実際に1000万円の人が都内と地方に住んでみるとどんな感じなのでしょうか。必須固定費の中で明確に差が生じるのが家賃、地方は必須の自動車です。平均相場を用いて、地方で住んだ場合と比べてみます。※HOMESの家賃相場を使用して平均家賃を算出。
都会(東京都23区)住みの年収1000万円 | 参考:地方(富山県)住みの年収800万円 | |
家賃相場(2016年8月、2LDK) | 月額17.5万円 *12ヵ月 = 210万円 | 月額5.5万円 *12カ月 = 66万円 |
自動車(年額) | 20.4万円 | 86.2万円 |
合計(年額) | 230.4万円 | 152.2万円 |
残り所得(月額) | 45万円 | 40.5万円 |
※都内はカーシェアリング、地方は新車(マツダデミオ)利用による居住を計算前提としている。自動車の数値は、下記の記事から引用。5年間利用した場合の年平均費用。
地方住まいは車が必須なので新車を購入し、都内は公共交通機関が多くカーシェアリング施設も多いので、カーシェアリングというやや偏った前提で計算をしましたが使える所得の差は僅か。都市部と地方の物価の格差を考慮すると、地方の方がまだ余裕があるかもしれません。
非常に分かりやすくするため、端的に支出項目の目立つ部分だけで比較しましたが、都内に住んでいる場合年収1,000万円というのは、地方の年収800万円と殆ど変わりません。
支出の工夫の仕方によっては、地方の600万円~700万円の人とも同等の生活となります。
年収1000万円と聞くと盲目的に裕福、お金持ちというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、この例のようにその人がどこに住むかで実際の裕福度は全く異なる点は、注意した方が良いかもしれませんね。