ETF取引動向から見る2018年の年末の米国マーケット

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個別株の売買動向を見るよりも、インデックス投資家は様々なETFの売買動向を見ることで、今の相場のテーマや動きを知ることができます。

2018年はリーマンショック以降では、2008年に次いで2番目の下落率となる激動の年でした。

日本と異なり年末も米国株式市場は動いていましたが、足元ではいったいどんなETFの売買が活発となっているのでしょうか。

BarChart.comのデータを用いて、今米国市場で注目されているマーケット材料を確認してみます。

2018年末のETF売買高

(出典)Barchart.com

1-5位 エマージング、EAFEなどの意外な銘柄が売買高上位を占める

ETFの売買動向の上位は、お馴染みのSPYに加え、MSCI EmergingやMSCI EAFEが売買上位に。

今新興国市場は、米国の利上げで通貨防衛的な利上げを余儀なくされており、経済・株価の爆下げが継続中。ただし、EAFE(欧州・豪州・アジア)も正直株価は冴えない状況は変わっていません。

EAFE(青)とS&P500(ピンク)

(出典)Yahoo! Finance

年末にこれだけ売買高が上昇した背景には、米国の投資家の資産配分において、政策アセットミックスでアンダーウェイトとなっている状況を補正するためのリバランスが影響したのでしょうか。

EAFEは、北米以外の地域を対象とした指数なので、米国の投資家が外国株式への投資手段として組入れていることが多いと思います。

XLF(金融株ETF)は、景気後退懸念や、金利の低下による利鞘の減少を織り込んで金融株を積極的に売る動きが表れた形に。

6-10位 Nasdaqも低調、VIX ETFに注目が集まる

2018年も米国軽罪は絶好調でしたが、2019年はピークから後退に転じる節目にあるという見方が出てきています。

GAFAのような米テック企業では成長して当たり前なため、業績見通しが少しでも鈍くなると、高すぎたバリュエーションを適正化するために激しく株価が下落します。

Nasdaq ETF(青)とS&P500(ピンク)

(出典)Yahoo! Finance

米国株投資家はご存知のように、年後半はテック株にとっては厳しい局面だったこともあり、QQQ(Nasdaq ETF)も大幅に売られたと見られます。

年末のリスクオフで大幅に上昇したのが、S&P500のインプライドボラティリティを表すVIX指数です。

このVIX指数を原資産とした先物を組み込むVXX(VIX先物 ETF)が活発に売買されています。

長期で持つのはオススメできませんが、更に相場が崩れる方にかけるなら、まだ買い時かもしれません。

11-15位 再び新興国ETF、そして絶不調のオイルもの

直近1年の新興国株式の株価推移はなかなか悲惨なものです笑

新興国株式ETF(青)とS&P500(ピンク)

(出典)Yahoo! Finance

年末は先進国株式の方が相対的に下落しましたが、 この1年の新興国株式の下げ方は悪い意味で壮観。

ただ、あまりにも下がりすぎて 割安な新興国株式を買い入れる動きも出たのでしょうか。11位から15位にも新興国株式のETFが2つ並びました。

また、最近は米国やロシアの産油量の増加、OPECも年半ばに増産を容認したこと等相まって原油在庫がだぶついています。

加えて、経済の先行き見通しが悪化していることで、原油需要に対する懸念も強まっていること等から、原油先物・ETFが激しく売られています。

16-20位 米中貿易戦争直撃の中国株と困ったときの公益株

中国株 ETF(青)と公益株 ETF(水色)とS&P500(ピンク)

(出典)Yahoo! Finance

上位銘柄の説明で既に言及したように、新興国株式は年を通じて軟調な動きとなりました。その下げをけん引したのは、やはり中国です。

新興国株式のETFは1年で概ね18%下落しましたが、中国株のETFであるFXIも同程度の下落となっています。

米国との応酬で中国国内の企業・消費者のマインドは最高に冷え込んでおり、マクロ統計は軒並みダメダメです。

こうした不安定な状況でも買われるのは、景気の変動に強いディフェンシブセクターです。

XLUはS&P500の公益株を集めたETFですが、年末にかけてS&P500が大きく値を崩す中でも、安定的に推移しています。リスクオフの逃避買いがまさに出来高に表れている感じですね。

21-25位 リスク回避のゴールド買いとハイイールド売り

金鉱株ETF(青・水色)とハイイールド債ETF(紫)とS&P500(ピンク)

2018年のリスクオフ相場では、リスク回避的な相場展開が顕著となりました。

リスクオフ局面で買われやすい銘柄と言えば、金もその1つであり、6位と24位には金鉱株のETFが含まれています。

年間を通したパフォーマンスは10月くらいまでS&P500にめちゃくちゃ劣後していたのですが、年末の逃避買いで年間の収益率はほぼ同じとなりました。

一方、リスクオフで高利回りのハイイールド債のスプレッドがかなり開いてきており、HYGはやられ方が株並みです。

特に米国だとシェール等のオイル関連の業者が発行した社債がハイイールドETFに組み込まれていることが多いですが、原油価格の下落が社債の売りを促しているようです。

年末1日の売買だけでも相場の材料がよくわかる

今回年末の2018年12月31日の出来高だけを見て売買動向を確認しましたが、足元の相場動向を表す非常に分かりやすい銘柄が並びました。

一言で表すならば、ディフェンシブシフトと言って良いでしょう。

インデックス主体の投資家は、こうした特定のテーマやセクターに焦点をあてたETFの売買を読み解くことで、今何が相場のテーマとなっているか手に取るように分かります。

この投資手法の醍醐味の1つですね。

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