中長期投資を考えるにあたり、配当利回りは重要な要素の一つです。
中長期視点で投資をすると、複利効果によってたった少しの数字の違いが大きな差となって表れます。
高配当をテーマにしたETFや投信は腐るほどある訳ですが、高配当にも2つあり、高配当及び好配当の2種類を見かけます。
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「高配当」と「好配当」の違いとは?
「高配当」とは、文字通り配当利回りが高いことを表し、一般的に過去実績等を踏まえ高配当な銘柄に重点的に投資します。
「好配当」は、某証券会社等の用語集では、好配当を謳うETFでは、将来の配当成長が見込める銘柄等に投資する場合に使用されるようです。
簡単にいうと、「高配当」はどちらかと配当実績に焦点をあてる一方、運用方針等において「好配当」では配当成長率等、配当利回り以外を考慮している所に、証券業界において使い分けの基準があるようです。
本当かいな。どうも胡散臭い説明です。
米株の配当フォーカスETFの名称は、会社によってまちまち
米国株式のインデックス投資家として、以前はシーゲル本の影響で好んで高配当ETFに投資していた訳ですが、例えば、実際メジャーどころの高配当ETFではどういう和訳名称が付けられているのでしょうか。
- HDV:(和名)iシェアーズコア米国高配当株ETF
- DVY:(和名)iシェアーズ好配当株式ETF
- VYM:(和名)バンガード米国高配当株ETF
- VIG:(和名)バンガード米国増配株ETF
- SDY:(和名)SPDR米国高配当株式ETF
米国株式のインデックス投資家が投資する配当フォーカスなETFは、iシェアーズが2つ、バンガードが2つ、SPDRが1つの合計5つが主要なものです。
これらのうち、「好配当」のワードは、DVYに使われています。また、「VIG」では増配株という言葉も出てきています。
字面を見てみると、増配は配当を増やしている企業に投資するんだなということが何となく分かりますが、やはりこれだけでは高配当と好配当は違いがよく分かりません。
高配当株ETFの運用方針
それぞれの指数の運用方針の違いを簡単にまとめると以下の通りです。
- HDV:財務健全性があり、配当支払い余力のある資金が潤沢な75銘柄の米国株式で構成される指数と同等の成果を目指す。
- DVY:ROEが高く、配当利回りかつ過去5年の配当成長率が高い100銘柄の米国株式で構成される指数と同等の成果を目指す。
- VYM:FTSE Global指数の米国株式うち、12ヵ月予想配当利回りの高い上位50%の銘柄で構成される指数と同等の成果を目指す。
- VIG:10年以上連続して増配する実績を持つ米国の普通株式で構成される指数と同等の成果を目指す。
- SDY:S&P1500構成企業のうち、20年以上増配している企業で構成される指数と同等の成果を目指す。
これらのうち、DVYは確かに運用手法において配当成長率の観点が明確に組み込まれており、冒頭の証券会社の説明とも一致します。
ただし、増配実績を重視するETFでも、高配当と謳っているものもあり、他の会社と定義が一致していません。
また、増配実績を重視ているものでも、VIGのように直接「増配株ETF」と謳っているものがある一方、単純に名称に「高配当株」とだけ記載しているものもあります。
参考に配当の実績を見てみます。
配当フォーカスだからと言って、必ずしも配当が良い訳ではない
- HDV:3.08%
- DVY:3.31%
- VYM:2.51%
- VIG:1.86%
- SDY:2.46%
- VOO(S&P500 ETF):1.56%
※2018/11/30基準
参考に過去12カ月の分配金利回りを見てみると、御覧の通りS&P500のETF対比では相対的に分配金利回りは高いものの、銘柄によってその差異は小さくありません。
なお、VIGは増配実績のある銘柄を主に組み入れたETFですが、高配当を名乗っていないこともあってか、配当利回りは高くありません。
プロバイダによって「高配当」の定義が違い、綺麗に使い分けされている訳ではない
こうした事実から見えてくる結論は、冒頭に言及されているほど、「高配当」と「好配当」の使い分けに明確な定義はないようです。
「高配当」自体も高配当株に限らず、「増配株」を指すこともあるなど様々な定義があり、正直ETFプロバイダ次第といった所です。
ただし、「好」という言葉は、好業績・好景気等と言葉の頭に付けられていることによって、「優れている・良い」等と言うニュアンスを持たせます。
投信やETF等の名称において使われるケースがほとんどですが、配当フォーカスなロジックで運用をしている商品のうち、「増配実績の長い株式」や「配当成長率の高い株式」等、配当利回りの高低以外の要素が「良い」商品において使われているケースが多いようです。
「高配当」と銘打つと必ず、市場ベンチマークと比べ、「配当利回り」が相対的に高くないと違和感があります。
しかし、「好配当」とすることで、「配当成長率」や「増配実績」、もしくは運用ロジックにおいて何らかの方法で「配当利回り」を評価していることを表すことができ、また配当利回りが必ずしも高くないことをぼかすことができます。
上記に挙げたETFの例では、DVYの英名はiShares Select Dividend ETFということで、単純な高配当ETFという名称ではなく、ニュアンスとしては「選び抜かれた配当株のETF」みたいな表現ですから、それを何とかして表そうと、「好配当」の字を使っているのかもしれません。
しょうもないですが、「好配当」にはETFプロバイダの単純に高配当だけではないことを伝えたい!そんな苦肉の策が表れているのでしょう。
ただし、これだけ調べて見ても、やはり思うんですよね・・・。
普通に分かりづらいから、素直に「高配当」にしとけよ。