来る景気後退に備え、下落相場で儲ける投資法を考える1

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足元の相場つきは以前に比べると軟調と言ってもよいでしょう。先日のTV放送ではこの急落のペースで多くの投資家の資産が毀損しているようです。いやあ、怖いですね。僕もです。

こうした下落相場でも儲けている人はいます。例えば、売り仕掛けをしている人。アベノミクスのような上昇相場では、中長期的なトレンドや銘柄のバリュエーションを見分け、じわじわと上がっていくなかを長い時間かけてホールドする”投資家”スタイルが王道と言えますね。

しかし、景気後退局面や経済・地政学的リスクが高まる地合いでは、投資家が資産価値の低下を嫌がり一気に売り抜けるので上昇時と比較し、株価チャートは急降下します。こうした短期的な下落局面でポジションを張れる投機家スタイルがまさにショーターの投資法です。

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このショートポジションによる投資の他にも下落相場において価値が上昇する投資方法はいくつもあり、こうした投資法はリスクが高いものは多いものの、上手く使いこなせばレンジや下落相場でも利益をあげることができます。2008年のリーマンショック以降、各国の緩和的な金融政策に支えられた上昇相場もここにきて転換点を迎えているのかもしれません。

リーマンのような百年に一度と言われるような金融危機は、流石に今後私たちが生きてる間に再来する可能性はないでしょうが、それでも今の相場の手一杯感は否定できない所です。

万が一の時に備えて、リスクヘッジの用途だけではなく、下落局面でも利益の上がる投資手段として覚えておいた方がよさそうです。

実は私も少し準備しています。ふふふ(しかし報われない)

債券投資信託

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メリット デメリット
  • キャピタル(値上がり益)だけではなく、インカム(配当収入)も狙える
  • 長期保有に強い
  • 投資対象によっては、インカム収入は信託報酬で相殺される
  • 現物投資が困難

まず、下落相場でショートに張らずに儲けるには、やはり債券投資は必須です。但し、債券は取引規模が大きく、取引も相対であるため、新発の個人国債以外には個人以外が売買するのはあまり馴染みません。投資するなら投資信託の形式になるかと思います。

え、実際現物投資してる人いる?安心して下さい。私の周りにはいません。(おい

債券投資も選別が必要

一般的にリスク回避局面では、株式が売られ安全性資産である債券、特に国債が買われます。ただ、債券は様々な発行体が起債しており、一概に相場下落局面で価格が上昇するわけではないんですよね。これが。

株と比較したリスク リスク局面での一般的な動き
国債 上昇
地方債、政府関係機関債 上昇
社債 下落
新興国債 下落

そもそも債券とは、発行体の借金に対する権利つき証券です。つまーり、その発行体が借金を返せなくなる(デフォルト)と判断される際には、債券も叩き売られます。売りますよ、そりゃね。一気にパーですから。しかし!国債は借金を返す発行体がアメリカや日本などの国自身であるため、これらの大国が破産する可能性は相当に低いとされていることから、下落相場では国債に資金が集まり、債券価格が上昇します。

一方、下落相場では大抵は経済環境が良くなかったり、企業収益が低調な局面が多いため、企業が発行する社債は返済余力に対する疑念(信用リスク)から売られます。また、同じ国債でもアルゼンチンなどの財務が不安定な新興国では、同様に利払いや元本の返済が滞る可能性が先進国と比べ高いため、リスク回避から売られます。

債券=安全資産と考えがちですが、下落相場では債券の中でも安全な先進国の債券に投資すればそこそこのリターンを得ることができるものの、ハイイールド社債新興国債券は値下がりしやすいです。ええ。

ヘッジコストにご用心

足元は国内債券の利回りが低下しているため、より高いリターンを狙うのであれば外国債券の投資が選択肢の1つになるかと思います。但し、下落相場で外国債券を買うと、リスク回避の円買いで円高になっていることが想定されるため、普通に保有すれば、円換算後には実は損している可能性も。

そうした為替リスクを避けるためには、為替ヘッジ外債を購入するのがおすすめです。しかし、為替ヘッジ外債の場合は、債券投資の魅力の1つである利息によるインカム収益があまり期待できなくなります。その原因がヘッジコストです。

為替ヘッジとは、平たーくいうと保有している外国債券の金額と同額の外貨を将来のある時点に買います、売りますというポジションを取り、受け渡しをせずにおくこと。任意のタイミングで反対売買を行うことで決済します。注文した時点でレートは固まっているため、為替が上がろうが下がろうがその間の為替変動がカバーされます。

FXをやっている方ならご存知ですが、為替のポジションを取ると金利がつきます。上記の例に挙げたように、買い注文した外貨を受け取らない = 外貨預金のように外貨を預けているのと同じようなものと考えたら分かりやすいですね。

さて、利回り2%の米国債券を100万円分買い、同額のヘッジをしました。つまり、ドル売り・円買いです。この時米国の金利が3%、日本の金利が1%の場合、以下のような形になります。

  • あなた:ドルを売り、円買い:ドルを預かっている状態なので、3%の金利を支払う
  • 相手:ドル買い、円売り:円を預かっている状態なので、1%の金利を支払う

このあなたが多く支払う差分の2%がヘッジコストです。そうするとあーら不思議。米国債券を保有していると利回り2%分の利息が入ってくるはずなのに、ヘッジをしているせいであなたは2%の利息を払っているのと同じ状態になっています。これがヘッジコストです。

利回りの高さを求め、外国債券に投資しても結局上記のようなヘッジコストでインカム収入が減ってしまいます。実はヘッジコストのせいでヘッジ外債の利回りだけ見れば、実はマイナスなんてことは往々にしてあります。下落相場で儲けるために債券を買うのも実はそんなに甘くない・・・。

株式信用売り

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メリット デメリット
  • 個別銘柄を売り建てられる
  • レバレッジ可能(3倍)
  • 貸株料が必要
  • 品貸料(逆日歩)が発生する
  • 取引可能な証券会社が限られる

証券会社から株を借りて売り、下落後に買い戻して差益を取る投資方法。自分の手元に株を保有せずに売り建てる、いわゆる空売りです。ショートポジションという言葉からは、まずこの単語が想像されますね。

個別株を見るのが得意ならお勧め

株式信用売りのメリットは、個別株をターゲットとしてショートポジションを組める点です。基本的にリスクオフ局面では、総崩れと形容されるように全ての銘柄が下落するので、どちらかと言うと個別株の業績不振や不法行為などのニュース、特定の業種に悪影響を与える政策関連報道、企業の増資発表などが主な空売りタイミングです。

また、保証金を積むことで、積んだお金以上に売ることができる(レバレッジ)ので、通常の株式取引と比較してリスクは高いですが、その分利益も多く取ることができます。

但し、言うは安し、行うは難しというように、ショートを仕掛けるタイミングは誰にでも分かる物では有りません。私も何回かトライしてみましたが、なんであれ自分が仕掛けると逆に動くんですかね?

タイミングを掴むには経験を積むしかりませんが、テクニックとして下記の本は非常に分かりやすくおススメです。

長期保有は避けましょう。銭トラレマス

信用取引の種類

制度信用取引 一般信用取引
銘柄 取引所指定銘柄 証券会社指定銘柄
信用売り 貸借銘柄(売買両方可)はOK 可能(対応証券会社)
返済期限 6カ月 無期限
貸株料 2-3%(年率) 2-3%(年率)
逆日歩 発生する場合がある なし

信用取引は制度信用及び一般信用の2種類の方法がありますが、いずれの場合においても、貸し株料が発生するためポジションを長く取れば取るほど金利がかかります。また、制度信用の場合、売り建てている銘柄の需給がタイトになると逆日歩という追加コストがかかります。

このような特徴があるため、信用取引は下落相場におけるスイングトレードにも使えますが、保有コスト面から考えると短期トレードに分があります。

ちまちま儲ける配当タダ取り手法も今や”ハイリスク”投資かも

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現物株を買い、信用取引で同じ銘柄を売り、権利付き最終売買を跨ぐ。短期的な両建てにより価格変動のリスクを受けずに株主優待だけ得るいわゆるタダ取り投資。カラ売りを使ったメジャーな投資法ですね。勿論下落相場でも威力を発揮します。

ただ、この優待タダ取り投資法は有名になったがため、今は逆にリスクとなる可能性もあります。答えはシンプルで、皆同じことをするから。特に制度信用銘柄は危険です。前項で述べたように制度信用銘柄では、需要の高い銘柄は逆日歩(追加コスト)が発生することがあります。株主優待が人気の銘柄は、権利落ち日近くになると同じように現物買い、信用売りをする人が続出します。

そうすると、需要増から逆日歩が発生し、信用売りをしている人は追加コストを支払うことになり、タダ取りどころかしょうもない株主優待に何万も支払う場合も起こりえます。これでは、タダ取り何処ろかただのリスクに他なりません。

今回は2つの投資法を見てみましたが、なんか結局色々難癖がつき、下落相場で儲けるのは難しいという結果になりますね。もっと楽な方法はないのでしょうかねぇ。

次回は、更に別の投資法について探ってみます。

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