私は基本的に中長期の観点で投資を行っているため、日本株と比べDCや余剰資金の運用先は相対的に成長力・インフレ率の高い米国株式や新興国株式等の外国株式に全力で振り向けています。
日本の個人投資家層では、日本株の投資が圧倒的に多いのでどちらかと言えば少数派ですね。そんな私が少し前に見つけた投資アプリで、コレ面白いなと思ったのがOne Tap BUY。
このアプリを提供しているのはスマホ専門の証券会社で、勿論スマホから投資できるのがポイント。そのため、ターゲットユーザーは20~30代のビギナー投資家なのですが、証券会社の扱う投資対象のメインがなんと米国株式。
スマホからビギナーに投資させるのに対象が米国株式なんて、面白すぎるにもほどがある。
ということで、他の方にも知って欲しいと思い改めてどんなアプリ・サービスなのか、ユーザーから見た感想も含めて是非とも紹介したいと思います。
One Tap BUYの基本的な情報まとめ
そもそもOne Tap BUYとはどんな会社なのか?
既に情報が沢山ある有名な証券会社と違って、情報のあまりない新興の証券会社にお金を預けるは些か勇気がいるもの。日本初のスマホ専門証券会社というキャッチーな聞こえは良いものの、このOne Tap Buyとはどんな会社なのか?
このOne Tap BUY株式会社は現社長の林氏が前身の会社を2013年に立ち上げてから、わずか3年あまりでサービスをスタートしたスタートアップ。Tech Crunch主催によるコンテンストでも審査員特別賞を受賞する等、サービス開始前から色々と話題となっていたようです。
One Tap BUYへの出資先の一部
企業としての歴史は短いものの、社長は当然ながら長く証券業界に身を置いていた方。当該企業にはソフトバンクやみずほ系のベンチャーキャピタル等も出資しており、かなり期待されている金融業界の新興企業みたいですね。
投資対象銘柄は日米株式と日本株ETF
ちなみに、冒頭でも説明した通りOne Tap BUYで取り扱うメインの投資対象は当初米国株式と日本株のETF。最近は日本株も追加されました。
また、各々上場している銘柄は全てというわけではなく、米国株式は上場株式の中からGoogleやAmazon、コカコーラやfacebookなど日本人でも誰でも知っている著名企業の銘柄が30種ほど。
取扱数がやや少ないようにも思えますが、投資ビギナー向けのサービスであることを考えると寧ろ証券会社が絞ってくれた方が分かりやすくて良いかもしれません。
一方、日本株は日経225ETF、日経レバレッジETF(2倍)、日経インバースETFの3種。こちらは指数連動型のみ扱っており、やっぱり日本株も投資したいという人向けに対応したのでしょう。
One tap BUYで扱うETFたち
1つ気になるのが扱い商品にレバレッジやインバース等の長期で持つと減価する可能性のあるETFがあること。
米国株や積み立て投資用のサービスページでは長期投資の魅力を説明する一方、長期で保有すると減価するETFを扱い銘柄として提供するのは個人的にはちょっと違和感。同社は利用ユーザーも投資歴の浅い人が多いこともあり。
なお、2017年夏より日本株の取引にも対応しました。日本株もネット証券が数多くありますが、One Tap Buyはスマホで簡単に購入できる上、単元株で売買金額の大きなトヨタやユニクロ(ファーストリテ)なども1,000円から購入できるようになりました。
最大の利点はスマホによる4ステップ売買
既存のネット証券でもスマホで取引できる先は多いですが、One Tap BUYの違う点はスマホで操作することが前提であることもあり、圧倒的にスマホでの売買操作が楽。これが最大の利点だと思います。
銘柄を一覧から選んで
設定は資金元、購入金額のみ
取引方法は非常にシンプル。①一覧から好きな銘柄を選び、②決済用資金を証券口座か銀行口座のどちらかを選択。③購入金額を設定、④売買の申込ボタンを押すだけ。
自分が既に使っている他の証券会社のスマホアプリと比べると、操作手順は少なく手軽です。スマホに慣れた若い人のために投資の間口を広げるサービスとしては非常に良い。
1000円から小口で投資できるが、移管はできません
One Tap BUYはビギナーが気軽に利用できる仕組みとして、1,000円からの小口投資を採用しています。
米国株式は日本のように単元株制度はないので1株から買えますが、それでも1株買うのにAppleでも円価で1万5千円前後、Amazonに至っては10万円前後になるわけで、市場での売買だと資金が少額の頃だと中々手を出しづらい。
一方、One Tap BUYでは証券会社が指定銘柄を保有しており、ユーザーは市場価格で必要な分を同社から買い付けしているようなものです。だから1株に満たない金額でも売買できます。つまり、購入した保有株はより厳密な表現をすると”保有持ち分“ですかね。
1株に満たなくても配当等も持ち分に応じて割り振られますので、普通に株式を保有しているのと変わりません。
ただ、気軽に投資できるものの、この投資方法はOne Tap BUYありきということに注意。投資にも慣れてきて、途中で保有株を 維持したまま他の証券会社を使いたいと思っても、他社への移管手続きはできません。
中長期で投資するならこの点は留意しておきたいところ。
業界でも珍しく外国株式の積み立てに対応してるぞ
One Tap BUYは、積み立てでコツコツ株式を投資したい人向けに「積み株」なんてアプリも出しています。日々の為替レートとか株価なんて細かい動きは気にせず、指定金額を淡々と購入したい人には便利。
こうしたドルコスト平均法による投資は投資信託ではよくありますが、外国株式そのものをやっている証券会社はあまりみないです。
配当の再投資は自分で行う必要などはありますが、中長期でココ!と決めた銘柄を応援したい投資家や、自動で給料等の一部を使って勝手に貯めておきたい人には使えますね。
One Tap BUYの使用感はこんな感じ
One Tap BUYの基本項目を確認できたら、次に主にアプリやサービス面の使用感を書いてみます。
企業情報やチャート等の基本項目は一応確認できる
One Tap BUYでは気軽にスマホで売買できるのが魅力的です。とはいえ、売買する前には売買タイミングや企業情報を少しは調べたいもの。
個別銘柄について確認できる項目
チャート等の確認はSafariでBloomberg経由になる
One Tap BUYでは上記のような感じで、個別銘柄に関する情報は色々と確認できます。
但し、例えば、企業情報はこの記事を書いている5月時点で3月半ばの古い情報が掲載されていたり、売買タイミングを確認するためにチャートを見ると、iPhoneならその都度Safariが開いてBloombergのページに飛ばされる等まだユーザービリティの面では難点があります。
そのため、PERや直近業績の推移といった細かいデータを確認してから買いたい人にとっては、結局PCで調べる必要があります。他社のアプリと比べれば個人的には問題ない範囲ですが、今後こういった点が改善されてアプリの網羅性が高まると嬉しいですね。
入金は振込手数料がかかるが、みずほならそのまま決済できるので便利
One Tap BUYはまだ新興の証券会社ということもあるためか、ネット証券によくある即時入金サービスにはまだ対応していません。
そのため、証券口座への入金は振込みが通常手段になるため、売買の都度銀行口座から証券口座にお金を移して買いたい人には振込み手数料が痛い。
これらを回避する手段としては、みずほ銀行の場合は銀行に置いたまま、買い付け資金の決済が可能な「銀行に置いたまま買付」があります。他の銀行を使っている人にとっては根本的な解決策ではありませんが、私のようにみずほ銀行を使っている人からすると便利。今後対応先を是非広げていってほしい。
売買手数料(スプレッド)は少額で買い付けするならお得だけども・・・
One Tap BUYには市場に注文を出しているわけではないので、取引手数料はありません。但し、売り買いする時の価格に以下のようなスプレッドが上乗せされて提示されており、それが手数料に相当します。
■One Tap BUYの売買スプレッド(2017/5時点)
株価 | 為替 | |
買うとき | 市場価格から +0.5% | 市場取引レートから +0.35円 |
売るとき | 市場価格から –0.5% | 市場取引レートから -0.35円 |
補足 | 市場開場時間外は気配値 or 直近終値から +-0.7% | 市場時間外は直近終値から+▲0.35円 |
One Tap BUYは店頭取引なのでほぼ24時間売買の申込が可能ですが、ここから分かる通り市場時間外の取引の場合スプレッドが割高になる分損するので、日本時間の取引は避けた方が良いです。
次に米国株式取引における主要なネット証券との比較は以下の通り。
■One Tap BUYと主要ネット証券との米株取引手数料の比較(2017/5時点)
証券会社名 | 株式手数料 | 為替手数料 | 手数料の上下限 |
One Tap BUY | 0.50% | 0.35円 | – |
マネックス証券 | 0.45% | 0.25円 | 上限手数料20ドル、下限手数料5ドル |
SBI証券 | 0.45% | 0.25円 | 上限手数料20ドル、下限手数料5ドル |
楽天証券 | 1取引25ドル | 0.25円 | – |
まず、手数料率の額面通りの数字を見れば、マネックスやSBIと比べるとOne Tap BUYの手数料は高いです。但し、株式手数料に関しては両証券会社の上下限手数料がポイントで、売買金額によっては相対的な割高・割安の順位は変わります。
つまり、マネックスとSBI証券はどんだけ少額売買しても5ドル(約500円)取られますし、どれだけ1取引で高額売買しても20ドル(約2000円)で済みます。
そのため、ここから逆算すると、One Tap BUYは1ドル100円前後なら、1取引11万円から12万円以下なら相対的に株式の取引手数料は安いですし、逆にそれ以上の取引ならマネックス・SBIの方が安くなります。積み立て投資するなら少額になると思うので、One Tap BUYの手数料設定は株式での積み立てには優位性があるように見えます。
しかし、これにはもう一つ考えなければいけない事があります。それは積み立て後の売却です。売却時は流石に数十万円から数百万円になりますので、それを売却する場合は、上限手数料の設定がないOne Tap BUYではかなり手数料が取られます。
その点まで含めると、一概にOne Tap BUYの手数料設定に積み立てに対する優位性があるとは判断できません。
やはり、現状の日本の証券会社で最も手数料を安く済ませる現実的な米国株式の積み立て方法とは、マネックス・SBIで1回11~12万円以上の取引を年数回に分けて行うやり方でしょうかね。
漫画の企業物語がくそ面白い。全部読んでしまった
実は私がOne Tap BUYで一番気に入っているポイントが各企業の成り立ちを漫画にした企業物語。
取扱銘柄の成り立ちを書いた漫画が見られる
色んな企業の成功までプロセスが面白い
One Tap BUYのメインユーザー層は、スマホ専門証券と言われるようにスマホの使用率が高い20~30代の若い人です。
この層は高齢者層と比べ、所得も低く投資経験も少ない。そういった人でも投資に対するモチベーションを高められるよう同社は扱い銘柄の漫画を揃えており、口座開設をすれば誰でも見られます。
この漫画、あの有名な進○ゼミみたいですが、それでも米国の有名企業どうやって成り上がったのか知ることができて非常に面白い。facebookのザッカーバーグやAppleのジョブズ等のサクセスストーリーは有名ですが、COACHやGAP、COSTCO等あまり由来が日本人には知られていない銘柄までカバーしています。
いかに投資に対して興味を持ってもらうか。たかが漫画、されど漫画ですがOne Tap BUYのこうした取り組みは好感が持てますね。
まとめ:まだ成長途上だけども応援したい
簡単ですが、実際に使ってみた感想や特徴等をまとめてみました。
これまで書いた内容から分かると思いますが、投資玄人からすると機能面や銘柄ラインナップ等で物足りなさを感じてしまう場面もまだまだ多いかと思います。
一方で、投資をまだ始めたばかりの人には十分な機能。ごちゃごちゃしすぎると、逆に投資をする気が無くなりますしね。投資家の間口を広げるためにも、こういうサービスは頑張ってほしい。
記事の中でもごちゃごちゃと書いてしましましたが、
- 将来のために貯金以外でお金を貯める手段を持っておきたい
- 資産運用は難しそうだから、まずは簡単なものからゆっくり始めたい
- 今の貯金じゃ中々株価が高すぎて、欲しい銘柄が簡単には買えない
取りあえず少しでも上記に当て嵌まる人は、One Tap Buyで口座を開設してまずは1,000円から投資してみることをおススメします。