目先の相場観は円高。そんな時の投資先に為替リスクを取らない3つの外国株式投資法

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国内の株式投資を行っていても、日本株の投資は実質的には為替リスクを負っています。国内の資産なのに為替リスク?と思われますが、周知の事実ですが日本株は為替との相関が高い

グローバル化で国内企業の海外売上高比率も上昇し、円安では輸出関連企業の利益の上振れ、円高では逆に下振れを織り込むような形で、株式相場も動いています。

青色が日経平均株価、赤色がドル円

2017年半ばには、企業の業績改善や日銀による金融緩和等で相関は低下していますが、今後も日本株は否応なしに為替に振らされそうです。

一方で、相対的に成長力の高い米国株式等に投資している人も多いかと思いますが、当然ながら外株の円換算収益は為替リスクをもろに被ります。

世界的な景気後退期や危機局面では、株安・円高が進むため、円換算ベースの収益率はかなり押し下げられます。つまり、日本国内の投資家は、日本株でも外株でも円高局面は運用の収益率が悪化する形になります

ものすごい長い視点で考えた時、為替は結局行って来いになるから、株式投資では気にしても仕方がない。気にせず持ち続ければ良いという考えもあります。

しかし、何らかの理由から途中で運用を取りやめて現金化する可能性がある資金の場合、もしその時に超円高局面にあったら・・・

今後3年から5年くらいで投資を考える時、足元はかなり景気が良い状態で円安になっているので、例えば金融緩和縮小や地政学リスク、景気後退入り等でこれから先の円高が心配と思う人もいるでしょう。

日本は貿易黒字で円転による実需面からの継続的な円高圧力もありますので、どうしても円高には逆らえません。

このような為替リスクを懸念する株式投資家にとって、円高局面はどうしようもないのでしょうか。私は敢えてこういう局面は外国株式への投資をしてみても良いのではないかと考えます。

なぜ円高局面で外国株式投資か?

短期的に為替が円高に推移するケース

短期的に円が強含む局面とは、例えば次の3つのケースが想定されます。

  日本株の動き 外国株式(現地通貨建)の動き
①世界的景気後退・リスク局面 下落 下落
➁日本のデフレ悪化 下落 下落 or 上昇
③日銀の政策金利引き上げ 下落 or 上昇 上昇

①の世界的に景気が後退する環境やリーマンショックのような危機局面では、企業収益の悪化や投資家のリスク回避的な動きから、国内外の株式は売られ、為替は円高に推移する蓋然性が高いです。この場合は、どこに投資をしても仕方がありません。

一方で、➁のデフレ悪化局面では、お金の価値が高まるため為替は円高になり、企業業績の悪化を織り込む動き等から日本株は下落します。しかし、日本がデフレ化する中でも外国株式は堅調に動くことも考えられます。事実リーマン以降数年はそのような動きとなっています。

③の日銀が政策金利を引き上げる場合も為替の円高推移が考えられますが、このケースでは内外株式はどちらに動いているか一概には分かりません。

ただし、ただでさえ多少のリスクオフで猛烈に円が買われることを考慮すると、日銀が政策金利の引き上げに動けるのは、世界的に景気が良い環境か、想定しづらいですが悪性のインフレが加速する局面があります。

前者の場合は、おそらく内外株式は堅調に推移していますが、円高がすすむ中で多少国内株式は軟調な動きとなることもあるでしょう。

為替リスクを無くせる外国株式の方が運用パフォーマンスが安定する

外国株式への投資は特にカントリーリスクに対する分散効果が効きます。

そのため、特に➁のデフレ悪化局面のように、円高の理由が国内景気に起因する問題の場合、日本株に投資していれば円高・不景気というダブルパンチで株価が下落する一方で、現地通貨建の外国株式の動き自体には影響を及ぼしません。

また、外国株式は円高になる分円換算収益率は悪化しますが、株価形成にダイレクトに為替相場の影響を織り込む日本株とは異なり、外国株式は円換算時に円相場の変動を後で考慮するだけで、為替ヘッジ等で為替の影響を排除することができます

S&P500のドルベース・円ベースリターンの推移

このように外国株式は、①リーマン後のデフレ局面のように国内景気に起因する円高の影響を直接的には受けない➁為替の影響は為替ヘッジ等で排除できるという点で私は敢えて外国株式を投資してみるのも面白いと考えます。

ただし、投資肝心のポイントは、その為替リスクをどう排除するかが問題になります。そこで為替リスクを排除できる3つの外国株式投資をご紹介します。

その①為替ヘッジ外国株式投資信託

 手法 為替ヘッジ外国株式投資信託
メリット 管理の手間がかからない。
デメリット 為替ヘッジコストの分収益率が目減りする。

日本の個人投資家が容易に為替ヘッジ外国株式を投資するには、投資信託が最も容易です。為替のヘッジ比率等の調整を行うことがないので、一切放っておいて問題なし。お使いのネット証券で手軽に買えます。

ネットでの購入で買い付け手数料無料信託報酬が1%以下となる為替ヘッジ付き外国株式投資信託をざっと抜き出すと以下の通り。

■為替ヘッジ外国株式投資信託の抜粋■

 投信名称 投資対象 参照指数 信託報酬
三井住友TAM-SMTAMダウ・ジョーンズインデックスファンド(為替ヘッジあり) 米国株 ダウ工業株30種平均株価・円ヘッジ 0.7452%
大和-iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジあり) グローバル MSCIコクサイ・円ヘッジ 0.2052%
One-たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり> グローバル MSCIコクサイ・円ヘッジ 0.243%
野村-野村インデックスファンド・米国株式配当貴族・為替ヘッジ型 米国株 S&P500配当貴族指数・円ヘッジ 0.54%

最近は競争が激化する中、手数料の安い投資信託も続々と増えており、インデックスファンドなら従前に比べ各段に投資しやすくなっています。

この投資手段のデメリットとしては、投資信託による運用委託のため信託報酬を要することや、為替ヘッジコストがかかることです。2017年ではこの為替ヘッジコストはどれくらいかかっているのかというと、最後の野村のインデックスファンドのファンド属性を抜粋すると以下の通り。

(出所)野村AM 月次レポート

御覧のように2%近くかかっています。配当貴族指数なのにもかかわらずほぼ配当がないに等しい。この2%の年間コストを高いとみるか、安いとみるかは個々人の価値観によりますが、その分為替リスクから解放されます。

今後数年において貴方の相場観に強い円高が見込まれるなら、こうした投資に一時的に切り替えるのも有用な手段の1つではないでしょうか。

なお、投信を買うなら、SBI証券楽天証券が良いでしょう。投信の扱い本数が2,000を超えて選択肢が豊富である他、投信マイレージや楽天スーパーポイント等保有によりポイントを得ることができるためです。

その➁FXによる為替オーバーレイ

 手法 FXによる為替オーバーレイ
メリット 投資対象を問わず、為替リスクをヘッジできる。
デメリット 為替ヘッジコストがかる。また、全て自分で全て調整する必要がある。

FXはレバレッジをかけて為替差益を狙う取引ですが、為替ヘッジの用途にも使うことができます。

例えば、約100万円分の米国株式に投資した場合、1万通貨分のドル円を売り持ちすると実質的な為替差損益は0になります

自分で投資対象を選んで、その投資対象の金額分為替を売り持ちすればヘッジできるため、現物だろうがETFだろうが好きな資産にヘッジできる点は利点です。

その分定期的に為替ヘッジの金額を調節する必要がありますし、為替ヘッジに要する証拠金も必要なため、資金効率はややおちます。

加えて、この手法も同様にヘッジコストを要します。円の売り持ちの場合、日本のように低金利の国なら基本的にはスワップは支払いなので、スワップ支払いができるだけ低いFX会社を選びましょう。

私は一部の資産にこの手法を試していますが、金利により変動するものの、定期的なチェックで最も継続的にスワップポイントが低いFX会社はDMM FXです。

DMM FXは売り買い同一スワップ

くりっく365と同様の売り買い同一で提供しており、その分スワップの絶対値が他社相対で小さいのがポイント。

円売り外貨買いの時はスワップの付与がけち臭いですが、ヘッジ用途のようにスワップを投資家が支払う場合は、スワップポイントの低いDMM FXは得します。

その③くりっく株365(株式CFD)

 手法 くりっく株365
メリット レバレッジをかけられる。為替リスク管理が一切なく、ヘッジコストがかからない。
デメリット 投資対象が限られる。また、配当相当額の途中引き出しはできない。

国内の投資家が為替リスクを取らないで外国株式に投資する方法として、最も資金効率がよくコストがかからない方法がくりっく株365です。

くりっく株365は、FXでお馴染みのくりっく365の株式指数版です。より正しい表現をすると原資産を株式指数としたCFD(差金決済取引)です。取扱銘柄は現時点で以下の4種類のみで、一見扱いづらそうです。

以上のメジャー指数4種類が投資対象

しかし、このくりっく株365の個人的に最も素晴らしいと思っていることは、外国株式指数でも為替リスクが発生しないこと。指数の上下を差金決済するのみで一切為替差損が発生しないため、ヘッジ外国株式に投資しているのと同様です。

しかも、このCFDには以下の特徴があります。

  1. ロングポジションは金利の支払いがあるが、配当も貰える
  2. レバレッジをかけることができる
  3. 差金決済期限なし
  4. 取引コストが激安(1枚100円台)

このくりっく株365は、レバレッジをかけることができ、決済期限がないため通常の株式同様に永久に保有できます。また、ETF等に投資した場合同様に、指数組入れ銘柄に発生する配当相当額を貰うこともできます

ロングポジションは金利の支払いも発生しますが、例えばダウ平均株価にくりっく株365で投資した場合の配当&金利の実績は以下の通り。

配当は年3万円から4万円に対し、金利の支払い実績はなし。つまり、ノーコストでずっと保有し続けられています。金利の低い日本の投資家ならではの投資商品がくりっく株365ということです。しかも、取引手数料も1枚100円台と激安。

貴方がもしヘッジベースの外国株式投資を検討しており、それがインデックス運用のETF等で十分なら迷わずこちらに投資した方が圧倒的にコストが安く済むでしょう。

ちなみに、くりっく株365提供証券会社で業界でコスト最安はマネックス証券です。くりっく株365を取引を検討するなら、ここが最適です。

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