今原油先物相場の上昇が著しいです。2018年10月初旬の時点で、WTIは1バレル=70ドル台半ばで推移しています。2016年には一時20ドル台を付けていたことを考えると、大幅な値上がりです。
(出所)macrotrends
当時も原油に対する需要は今後も継続的に高まることが予想され、米国のシェール革命による供給増を含めても、長期で見れば値上がりするという予想はありましたが、想定以上に早い回復です。
さて、こうした原油価格の変動の影響を受けやすいセクターは、当然エネルギーセクターです。
原油価格の上昇が続いて長い時間が経過していますので、既にバリュエーションが切りあがっている点は否めません。ただし、仮にリーマン前のような1バレル100ドルを超える展開が見込めるのであれば、短期的に収益を狙える可能性があります。
ここでは、米国上場のETF・ETNのうち、日本の証券会社で取り扱いのある銘柄についてまとめてみます。
なお、あまりにも規模が小さなETFは流動性リスク・途中償還リスクが懸念されるので、ここででは運用資産残高10億ドル以上のETFをピックアップしています。
Contents
大抵の証券会社で買える人気ETF
IXC:iシェアーズグローバル・エネルギー
項目 | 概要 |
ティッカー | IXC |
ファンド純資産金額 | 16.7億ドル |
ベータ(3年) | 0.97(S&P500対比) |
経費率 | 0.47% |
※上記データの基準時点は2018年10月7日時点
IXCは世界のエネルギー関連企業の株式を集めたETFです。保有銘柄の上位は、Exxon Mobil、Chevron、Total、Royal Dutch Shell、BP、ConocoPhillips等のいわゆるスーパーメジャーで半分ぐらい占められています。
原油価格の上昇でここ最近のパフォーマンスは確かに良いです。過去3年の年率換算リターンは2桁を超えるリターンを誇っています。
※上記データの基準時点は2018年10月7日時点
原油相場が堅調な限りは、手堅く収益が狙える一本と言えます。取扱証券会社は、SBI証券、マネックス証券、楽天証券、サクソバンク証券の4社です。
VDE:バンガード米国エネルギー・セクターETF
項目 | 概要 |
ティッカー | VDE |
ファンド純資産金額 | 49.9億ドル |
ベータ(3年) | 1.06(S&P500対比) |
経費率 | 0.10% |
※上記データの基準時点は2018年10月7日時点
VDEは米国のエネルギー関連企業の株式を集めたETFです。IXCと違い米国に限定されていることが大きな違いです。
Exonn Mobil、Chevron、Schlumberger、ConocoPhillips、EOG Resources等を上位保有しています。Schlumbergerは油田探査の大手企業、EOG Resourcesはシェール関連の石油開発企業です。
長期のパフォーマンスは、VDEの方がIXCよりも高いですが、足元ではやや劣後しています。
※上記データの基準時点は2018年10月7日時点
バンガードのETFなので、経費率が低いことも長期で見た利点です。なお、取扱証券会社は、SBI証券、楽天証券、サクソバンク証券の3社になります。
XLE:エネルギーセレクトセクターSPDR ETF
項目 | 概要 |
ティッカー | XLE |
ファンド純資産金額 | 184.4億ドル |
ベータ(3年) | 1.0(S&P500対比) |
経費率 | 0.14% |
※上記データの基準時点は2018年10月7日時点
XLEは米国のエネルギー関連企業のうち、S&P500に組み入れられている株式を集めたETFなので、VDEよりも投資対象銘柄が絞られています。
VDEが140近い銘柄で構成されているのに対し、XLEは約30銘柄です。
上位保有銘柄は、Exxon Mobil、Chevron、ConocoPhillips、EOG Resorces、Occidental Petroleum等であり、上記のETFとあまり変わりないです。
※上記データの基準時点は2018年10月7日時点
長期パフォーマンスは、このXLEが最も優秀。やはりS&P500に組み入れられる企業は格が違います。
取扱証券会社は、マネックス証券、楽天証券、サクソバンク証券の3社です。
3つのポピュラーETFの比較
以上の3つがメジャーなETFで、よくブロガーに取り上げられています。パフォーマンスを比べてみると、明確な傾向が見えてきます。
※IXC(青色)、VDE(紫色)、XLE(ピンク色)
含まれている銘柄に大差がないため、基本的な動きも似ています。唯一異なるのがIXCで、リターンが大幅に下振れています。理由は明確で、米国以外の株式が含まれているからです。
中長期の観点では、米国株式のリターンは世界の株式の中でも上位に位置しています。リターンを追及するなら米国株式一本で十分。
SBI証券ユーザーならVDE、マネックス証券ユーザーならXLE、楽天証券ユーザーなら好きな方を買っておけば問題ないでしょう。
分散投資の一貫で世界の株式に投資すべきという論調が一部にありますが、少なくとも株式の中での地域分散は無意味です。
最近は地域間の相関がより高まっており、米国株式が死ぬときは、たいてい世界の株式市場も死亡します。
下の記事では分散投資すべき国を書いてみましたが、私の基本観は「米国株式のみで十分」と思っています。
一部の証券会社で買えるETF
OIH:ヴァンエックベクトル石油サービスETF
項目 | 概要 |
ティッカー | OIH |
ファンド純資産金額 | 13.1億ドル |
ベータ(3年) | 1.32(S&P500対比) |
経費率 | 0.36% |
※上記データの基準時点は2018年10月7日時点
OIHはヴァンエック・グローバルが運用する石油探査・石油関連機器等を扱う上場企業を集めたETFです。9割が米国企業ですが、一部にはオランダや英国の企業を含んでいます。
保有銘柄としては、SchlumbergerやHalliburton、TransOcean等の企業を組み入れています。
※OIH(青色)、VDE(紫色)、XLE(ピンク色)
リターンは微妙で、VDEやXLE等と比較するとイマイチです。敢えて購入する必要はないでしょう。
なお、取扱証券会社はSBI証券、楽天証券、サクソバンク証券の3社です。
IYE:iシェアーズ米国エネルギーETF
項目 | 概要 |
ティッカー | IYE |
ファンド純資産金額 | 10.1億ドル |
ベータ(3年) | 1.02(S&P500対比) |
経費率 | 0.43% |
※上記データの基準時点は2018年10月7日時点
最初に紹介したETFがiシェアーズの世界のエネルギー株を対象としたETFですが、これはiシェアーズの米国のエネルギー株を対象としたETFです。
Exonn Mobil、Chevron、ConocoPhillips、Schlumberger、EOG Resources等を上位保有しており、VDEとほぼ一緒です。
※IYE(青色)、VDE(紫色)、XLE(ピンク色)
パフォーマンスもほぼ同じ。ただし、経費率が高い分長期で保有するならIYEはVDEに劣後する可能性が高いです。サクソバンク証券で買えます。
この2つは取り上げてみたものの、エネルギーセクターの上昇を取りに行くなら、素直にVDEやXLEをやっておけば問題ないですね。